無地デッキを取り扱わない理由

無地デッキを取り扱わない理由

どうも!稲垣です。

スケートボードのデッキって不思議だと思いませんか?

だって、最終的にスライドトリックでボロボロにしちゃうのに、「このグラフィックがヤバイ」っていう理由で買うなんて、ちょっとおかしいじゃないですか。

だけど、グラフィックがカッコいいっていう理由でデッキを選ぶのなんてスケーターにとっては当たり前です。

それから、デッキを選ぶ理由には、「このプロスケーターが好きだから」っていうのもあります。僕は、この理由で選ぶことが多いですね。

お店をやっているとたまに、

「ブランクデッキは、取り扱わないんですか?」

と聞かれることがあります。

ブランクデッキというのは、グラフィックがプリントされていない無地のデッキのこと。

僕のお店では、ブランクデッキは、取り扱っていないし、今後も取り扱う予定はありません。

ブランクデッキを取り扱わない理由は、2つあって、

デッキのグラフィックは、スケボーカルチャーに欠かせないものだからっていうのと、

プロスケーターに感謝し、プロスケーターを尊敬しているからです。

僕たちのようなアマチュアスケーターが、毎日スケボーしたくなるのも、スケートボードの進化に興奮できるのも、プロスケーター達が体を削ってスタイルを発信したり、トリックを開発してくれているからだと思っています。

プロスケーターのほとんどは、大会に勝った結果、プロになったわけではありません。

ほとんどの場合、自分の滑りをまとめた映像を世の中に発信して、キッズから支持を得られた結果、プロスケーターになります。

DVDやYouTubeで見る、プロスケーターの凄いトリック。たった5秒の映像のために一晩かかっていたりします。もしかしたら、一晩で撮影できたらラッキーだったりします。

ケガをすることもあるし、警官や警備員に追いかけられたり、実際に逮捕されたりすることもあります。

そういうリスクを何度もくぐり抜け、撮影以外では、パークでトリックを磨き、何年もかけてようやく3分のパートができあがってきたりします。

僕たちは、その3分の映像に自分の姿を重ねて夢を見たり、理想を描きます。

プロスケーターの名前が描かれたデッキのことを、シグネチャーデッキ、プロモデルデッキと呼びます。

このデッキが売れることで、プロスケーターにロイヤリティが払われます。契約の仕方は、チームやブランドで色々だと思うけど、シグネチャーデッキが売れることで、プロスケーターに還元されることに違いはありません。

ブランクデッキなら、5,000円で済むのに、シグネチャーデッキなら10,000円以上します。

ブランクデッキもシグネチャーデッキと変わら品質は良いし、トリックも楽しめます。コストパフォーマンスということで考えたら、シグネチャーデッキを買うなんてお金のムダでしかない。

実際に、ブランクデッキしか使わないスケーターもいたりします。とても賢い選択だし、懐事情も価値観も人それぞれなので、否定しません。

だけど、僕のお店では、ブランクデッキを取り扱わないし、僕自身も買いません。

お店の経営という点では、ブランクデッキを取り扱うことで、売上げアップにつながったりもするだろうけど、やっぱりブランクデッキを販売する気にはなれないんです。

スケートボードショップっていうのは、売上を追求する場所じゃなくて、スケートボードカルチャーがこれからも続いていくように支援する場所だったりするのかなぁと考えています。

プロスケーターと地元のキッズの橋渡しをする場所と言い換えてもいいかもしれません。

プロスケーターには、デッキの売上の一部を届けて、キッズには、プロスケーターのスタイルを届ける。これが、スケートボードショップの仕事のひとつだと思っています。

シグネチャーデッキを買うなんて、単なるお金の無駄遣いに感じる効率重視の人もいるかもしれません。

無駄遣い、いいじゃないですか。

人生の全部が効率化されたとしたら、もしかしたら、人生自体が効率化の結果、なくなっちゃうかもしれません。

スケートボードを楽しむなんて、人生のムダ、超ムダ。でも、ムダなことは楽しいんです。

なんでも効率化して、仕事にするから、遊びが退屈になっていくんです。

人生がムダで満たされている人は、きっと楽しい人生を生きている。

そんな風に思うから、僕のお店では、ブランクデッキを販売しないし、シグネチャーデッキについては、熱く語ります。

今日は以上です。

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