このコラムでは、スケボーの楽しさや魅力や価値を、何かに例えてみるということを試みています。例えば、
スケボーって筋斗雲?というコラムでは、スケボーを漫画ドラゴンボールの筋斗雲に例えて、ストリートスケートは冒険みたいに楽しいものだという事を表現してみました。あとは、
人間ではなくて、スケボーサウルスなんです。というコラムでは、スケーターの発想を新しい生き物として捉えてみたりしました。
そして今回。トップの画像やタイトルでバレているとは思いますが。そうです、
ドラゴンクエスト!
ドラゴンクエストは、プレイヤーがゲーム内の主人公となり、敵の親玉を討つことを目的に架空の世界を冒険をするコンピュータゲームである。ドラクエと略した愛称で親しまれる。表記上では「DQ」(Dragon Quest)という略称も用いられる。ジャンルはロールプレイングゲーム(RPG)。 3作目『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は発売日に長大な行列ができたことで、マスコミに取り上げられるほどの社会現象となり、ファミリーコンピュータ(ファミコン)の普及台数増加にも大きく貢献した。(Wikipediaより)
僕は、1977年生まれですが、同年代の方で、ドラクエⅠ〜Ⅲのロトの伝説シリーズにハマったという人は多いのではないでしょうか。
冒険という意味では、筋斗雲の記事と表現の方法が同じになってしまうので、それとは違う視点で書いていこうと思います。
ドラゴンクエストの、「職業」という機能が、とても良く出来ていました。
それぞれの職業に、得意と不得意があるというのが新鮮で、テレビゲームなのに凄く現実感がありました。中には、どんな魔法も使える「賢者」、というオールマイティーな職業もあって、それを3人揃えていると、かなり強い。なのに、そのパーティでゲームを進めても、楽しくない。なんで?と考えてみると、せっかく得意、不得意という”揺らぎ”のおかげで、テレビゲームに現実感があらわれたのに、オールマイティーで完璧な能力をそろえることで、それを台無しにしていた、という事に気づきました。完璧ではない方が楽しい。これは、スケボーも同じです。
「スケボーはスタイルが大事」なんて言葉を、目にしたり耳にしたりしませんか?多くの人は、その方が「カッコイイ」と思っているからだと思うのですが、僕の意見は少し違います。もちろんスタイルのあるスケーターはカッコイイ。でもスタイルが大事な理由は、その方が「楽しい」からです。
僕は、カッコ良さに憧れてスケボーを始めましたが、今では、「楽しさ」に魅了されて、スケボーを続けています。その「楽しさ」の根本にあるのが、「スタイルを認める」ということだと思っています。
スケーターはみんな、スケボーの難しさと、奥深さに向き合っています。だから、
「自分は出来ないけど、他人が出来ること」
は、もちろんなのですが、反対に、
「自分が出来て、他人が出来ないこと」
も認めることが出来ます。トリックの数や、高さを競うよりも、自分の好きなこと、得意なことをやるのがスケートボードです。
スケボーは得意、不得意があって良い。もしかしたら、出来ないことも価値かもしれない。一緒に滑る友達の滑りを「認める」ことが、自分もいつか「認められる」ことにつながっていくと信じて、スケボーを楽しみましょう。
ドラゴンクエストの脇役に、トルネコというのがいます。職業は、道具屋。戦うよりも、道具を扱うほうが得意なキャラクターです。「道具」というのはドラクエの世界では、物語の進行を決めるほど、かなり重要な要素です。そのために、「道具屋」のトルネコが主役のゲーム「トルネコの大冒険」というゲームまで発売されました。
ドラクエは、脇役を主役にしても成立するほど作りこまれている、奥の深いゲームです。スケボーはどうでしょうか?
僕は、常々スケボーは奥の深い文化だと主張しています。それは、
「色んな才能、キャラクターの人間が活躍することが出来るから」です。
滑りの上手いヤツだけが偉い、という文化だったら、スケボーはこんなに多くの世代、地域で楽しまれることはなかったでしょう。
誰も撮影したことがないスポットを探すフィルマー。キッズがワクワクするようなグラフィックを描くアーティスト。世界中のキッズにデッキを届けるために努力するカンパニー。地元を盛り上げるショップ。
沢山の人間が、お互いの分野を認め合いながら、スケボーは進化しています。
スケボーを続けていると、「何年もスケボーしているけど、才能無いなー。」と、ヘコむことが、誰にでもあります。でも、スケボーをやめてしまう必要はありません。あなたの得意なことで、プロスケーターをサポートしたり、近所のスケボーキッズを応援することが出来るかもしれません。
楽しみながらスケボーを続けて、あなた自身の大冒険の物語を探してみましょう。
ドラクエで楽しかったのが、武器や防具を買うこと。モンスターを倒して巻き上げたゴールドを持って、お目当ての武器を買いに行く時の、あのワクワク感。
「これくらいの武器があれば、あの塔のボスを倒せるな。」
という感じで、大きな敵を倒す時は、必ずと言っていいほど、武器屋に寄ってから向かっていました。ドラクエの武器屋って、覆面被ってて、上半身裸でイカツイんだけど、たまに気さくな感じ。それをスケボーショップでやったらどんな感じかやってみようと思います。
スケボー屋「ここはスケートボードの店だ。売ってるモノをみるかね?」
スケーター「はい。」
スケボー屋「何を買うかね?」
スケーター「このデッキを下さい。」
スケボー屋「GIRLのPOP SECRETだね?デッキテープを貼っていくかい?」
スケーター「はい。」
スケボー屋「さっそく乗って行くかい?」
スケーター「はい。」
スケボー屋「他に何か買うかね?」
スケーター「このウィールを下さい。」
スケボー屋「SPITFIREのBIGHEADだね?」「おや?これを買うにはお金が足りないようだ。」
スケボー屋「他に何か買うかね?」
スケーター「これを下さい。」
スケボー屋「あぶない水着だね?」「誰が装備するかね?」
スケーター「僕が。」
スケボー屋「君には、この水着は、あぶなすぎるようだ。」「他に何か買うかね?」
スケーター「いいえ。」
スケボー屋「ありがとう。またよってくれよな!」
って感じになるのかな。当店Hi5 Skateboardingも、ドラクエでボスを倒す前に、武器屋に寄ったように、
「今日こそは、あの階段をオーリーで飛びたい。その前に、ショップでデッキを調達しよう。」
という時に、スケーターに寄ってもらえるようなショップでありたいと思います。
ドラクエを通して、スケボーの楽しさを再認識するという試みをしてみました。ドラクエとスケボーは共通点が多いですね。
・仲間を集める。
・敵を倒す = トリックを成功させる。
・レベルアップする。
・冒険に出かけると、色々なイベントが起こる。
どちらも男子の永遠のテーマが満載ですよね。スケボーを始めるのって、冒険に出かけるような感じ。スケートパークやスポットは、仲間と出会える「ルイーダの酒場」みたいだし。
ストリートスケートをしていると、
↑こんな怖いオジサンにしかられることもあります。その時は、戦わず逃げる。謝りながら逃げる。でも、そういうアクシデントも冒険ならでは。
そして、最後に、ひとこと。スケボーには、「復活の呪文」がありません。ドラクエはテレビゲームだから、同じ部分を何度でもやり直せます。
スケボーはあなたの人生に起きる現実の出来事です。その日、その場所、その時間に起こる出来事は、その瞬間にしか体験出来ません。
スケボーでストリートに出かけて、一度しかない、あなたの冒険物語を楽しんで下さいね。