どうしてこのスケボーがおすすめなんですか?って聞かれた時、機能よりも伝えたいこと。

どうしてこのスケボーがおすすめなんですか?って聞かれた時、機能よりも伝えたいこと。

どうも!稲垣です。

スケボーショップをやっていると、これからスケボーを始める初心者の人から、

「どうしてこのスケボーがおすすめなんですか?」

という質問をされることが多いです。

そんな時、僕はいつも、機能的なことよりも、ブランドのスタイル、ノリ、デザインの意味、所属ライダーのヤバさっていうようなことを答えてしまいます。

「しまう」という、まるで失敗かのように書いたのは、多分、初心者スケーターは、本当は別の答えが欲しいのだと、僕自身も分かっているから。

初心者スケーターが、「どうしてこれがおすすめなんですか?」と聞く時、本当に欲しい答えは、

「これなら簡単にオーリーができるから」

だったりします。

「これを選べば、すぐにオーリーができるようになるスケボーを教えて欲しい。」

という反応をする人がけっこう多いんですね。

そんな反応が返ってきた時に僕がする返答は、こうです。

「そういうスケボーは、ないですね。」

ガッカリされるお客さんもいるんですけど、マジでないんですよ。

セッティングやパーツのセレクトで、ある程度初心者でもやりやすいようにすることはできても、いわゆる初心者用っていうのは、スケボーにはないんですよね。

僕も売る立場として、初心者の人でもなるべく滑りやすいようにしたいと思っているのですが、

「これなら誰でも簡単にオーリーできる」

っていうのを求めてこられると、お断りする以外にないんです。

初心者でもオーリーができる、もしくは、トリックが簡単になるっていう基準でスケボーを探していたのに、「そんなものは、ない」となると、完全に迷子状態になる初心者の人もいるかもしれません。

そんな時に僕が伝えたいのが、さっきも書いたような、ブランドのスタイル、ノリ、デザインの意味、所属ライダーのヤバさなんですね。

だけど、ほとんどの場合、伝わりきらないことがほとんどです。かなり一方通行な感じがする時もあります。

それでも、やっぱり機能的なことよりも、こういったカルチャーの部分を伝えていきたいと思ってます。

なんで機能よりもカルチャーを大切にするの?ってことになるんですけど、理由は、その方がカッコいいスケーターになれるからです。

僕が今まで出会ってきたカッコいいスケーターは、みんな機能よりもカルチャーを優先していました。

「使いやすさよりも、アガるかどうか」

っていうのを基準にデッキやパーツを選んでいるスケーターって、みんなカッコいいんです。

スケボーがスポーツ化していくことで、今後、「上手いほうがえらい」っていう感じになっていくと思うんですけど、僕は、上手いよりもカッコいい方がえらいと思うし、スケボーにとって、「カッコいい」は、とても大切な要素なので、守っていきたいと思っています。

カッコいいスケーターは、いわゆる文脈っていうのを大切にしています。

このデッキには、このトラックを合わせたいよねー

とか、

シューズブランドと着ているTシャツのブランドがバラバラはなのはダメっしょ

っていうようなことを、暗黙の了解として、コミュニケーションとして共有しています。

文脈っていうのは、ルールとして説明されても全然ピンと来ないんですよね。その世界にどっぷりと浸かることでどんどん心に浸透していくようなものです。

なので、僕が、初心者の人にブランドのスタイル、ノリ、デザインの意味、所属ライダーのヤバさを熱く語っても、なかなか伝わらないのも当然なんです。

当然なんだけど、これだけの数のスケボーの中からどれかを選ぶ時に、価格や機能以外で選ぶためには、少しでも心が動くことが必要だと思うんですよね。

機能はいつか古くなっていくし、買った時にどれだけお買い得だったかなんて、きっと忘れてしまう。だけど、心が動いたことって一生忘れない。

もちろん、価格や機能は、ものを買う時にとても大切なことだけど、決め手は「心が動いた」っていう仕事がしたいと思って、なかなか伝わらないかもしれないけど、今日も明日も明後日も、デッキのブランドについて熱く語ります。そして、熱く語れるブランドしか売らないことにしています。

今日は以上です!

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