どうも!稲垣です。
今日は、僕の地元富山県のフィルマー、中川龍介の最新作「FAROUT2」のレビューをお伝えします!
結論から言うと・・・
オリンピックがどうだとか、大企業が参入とか、スケート業界がなんやらゴチャゴチャなってるけど、スケーターは、相変わらず夜中にやかましいことをしていて、ガリガリと街を削ってて、自分も街に出てスケートしたくてソワソワしてくるぞ。
っていうDVDでした。
超絶に上手いテクニシャンは出てこないし、20段ステアーも出てこないし、新時代の幕開けを感じるスタイラーも出てこないけど、見ておいて損はないスケートボードDVDになってます。
それじゃあ、まずは、FAROUT2を作った中川龍介を簡単に紹介します!
ずーっとスケーターを撮り続けているフィルミングジャンキー
↑この人がFAROUT2を作った中川龍介。80svtr(エイティーズブイティアール)名義で色んなスケートクルーのフィルミングをしていたりします。
万歳ナイトっていう、夜の街をゆるゆると滑るスケーターの映像を撮るフリをしながら、エロい女性を撮影するという企画も好評です。
今は、スマホがあれば、誰でも簡単にスケートボードの撮影ができるし、編集も簡単。YouTubeやインスタグラムを使えば、一瞬で世界中に作品を配信できる時代。
中川龍介は、そんな便利なものがない時代から、地元のスケーターを撮り続けている筋金入りのフィルミングジャンキーなのです。たまに、彼の家にお邪魔することがあるんですが、部屋の棚には、スケボーのVHSやDVDが詰まっているし、これまでに自分が撮影したフッテージが収められたテープが、箱にギッシリと詰まっています。ここだけの話、発表したらそれなりに話題になりそうなヤバイ映像もある(と僕は個人的には思っている)。
FAROUT2は、そんな中川龍介が作った2作目のスケボーDVD作品です。
地元富山とお隣の石川県のスケーターの滑りが中心になっているけど、全国のローカルスケーターが沢山出演しています。
全編アスファルトとウィールが擦れるガーガーという音が鳴り響く、ストリートスケート100%のスケボーDVDに仕上がっています。
どのスケーターも個性があって、足を振り上げ、手を振り回し、メチャクチャ楽しそうにスケートしています。
中でも、僕が気になったスケーターやパートをリストアップしてみると・・・
FAROUT2の見どころ
GENKI HIGUCHI
作品の印象を決めるといっても過言ではない、一番最初のパートを務めたのは、Genki Higuchi。中川龍介がDVDをリリースすると聞いて、わざわざ新潟から富山にきて撮影をしたというから、気合の入り方が違います。高いオーリーで富山のスポットを次々と蹴散らしていきます。
台湾パート
石川県金沢市の名店CASPERのクルーと行った台湾ツアーでのパートでは、地元のスケーターの滑りもチェックできます。注目は、Suguru Uchida。僕は個人的にグーフィースタンスのスケーターが好きなんですが、彼は、グーフィー好きにピッタリハマるカッコイイ滑りをするんです。フリップの時の前足の刺し具合、バックサイドリップスライドの時の腰の入り具合がカッコイイ。キレイな滑りじゃないけど、ほどよいダーティ加減がストリート感をさらに醸し出していて、彼のパートは、何回も見たくなります。
RYOTA MATSUDA
Ryota Matsudaは、僕が一押ししたい富山の若手スケーター。小柄な体でストリートを滑り抜ける雰囲気は、まさにスケートラット。富山の路地裏から繁華街までをクリエイティブにヒットしています。
SHUHEI KANEKO
Shuhei Kanekoは、僕が富山で一番好きなスケーター。昔は、正統派ストリートスケートって感じだったけど、今は、見ていると不安になるくらい、何をやるか分からない風来坊スタイル。ラストのビッグスラムで死んだ!?と心配になります。
KEISHIRO TAKASHIMA
MxMxMのプロ、Keishiro Takashima。中川龍介の前作FAROUTで、スケーターの話題をかっさらった日本人離れしたクソ高いオーリーは、今作でも健在。富山のモニュメントであるAMAZING TOYAMAをあっさりとクリア。AMAZING TOYAMAをやめて、FUCKIN’ AWESOME TOYAMAに作り変えてしまいたいです。彼のパートを見た富山のスケーターは、そのオーリーの高さと軽さに度肝を抜かされるはず。その敗北感からスケボーをやめたくなるかもしれないけど、やめないでくれ。
SHUGO OHMORI
名古屋のスケートクルー3rdzのShugo Ohmoriパートは、ありそうでなかった、できそうでできない、変幻自在のストリートスケート。ノーズとテール、レギュラーとスイッチがクルクルと入れ替わって、言うならばエッシャーのだまし絵的スタイル。その中にたまーに入る50-50やハーフキャプといったトリックがピリリと効いていて、見るたびに良さが分かってくるパートです。
SKATE ATOM
前作のFAROUTで富山のスポットをことごとく蹴散らしていたSKATE ATOM。FAROUT2でも、ガリガリ攻めてくれています。狭い路地、急な坂、丸いレール、垂直の壁といった、街にあるもの全部を使って遊びまくっています。前に住んでいた家の近所が出てきてグッときた。
TOSHIMASA “Mr” KOZAI
大トリを務めたのは、石川県金沢市のスケートショップCASPER店長 Toshimasa “Mr” Kozai。足を上げ、腕を振り、アスファルトを削って滑る。スケートボードが大好きなのが伝わってきます。ラストのビッグトライもスゴイけど、その前のダウンヒルでのラインがめちゃくちゃイケています。ラストパートからエンディングへ流れ込んでいく編集がドラマティックで泣けてきます。
まとめ:街で遭遇するとちょっと嫌だなっていうスケートボード
FAROUR2は、1回目よりも、2回目、3回目が面白くなってくる作品だと思います。特に凝った編集がないから、滑りだけをじっくり見ることができるし、見るたびに、「実は、このスポットやばいじゃん」という発見もあります。
キレイなパークでヘルメットをかぶって安全にトリックを練習するスケートボードとは全然違う、やかましくて、うっとうしくて、街で遭遇するとちょっと嫌だなっていうスケートボード。FAROUT2には、僕が最初に憧れたスケートボードが映されていて、少し懐かしくなってしまった。それだけ、スケートボードも僕自身も変わってきているんだと思う。
競技としてのスケートボードや安全に楽しむスケートボードを否定するつもりはない。でも、僕は、中川龍介が撮影するスケーター達が好きだ。もしかしたら、人間的にも社会的にもほめられたような奴らじゃないかもしれない。でも、普通に生きるしかない僕が、彼らと会話できる唯一のコミュニケーション手段がスケートボードなのだ。少しでも彼らと会話できるように、僕自身も足を上げ、腕を振り、アスファルトと自分の体を削っていかなくては、と思わされた。
FAROUT2は、ストリートスケートがしたくてソワソワしてくるスケートボードDVDになっています。チェックしてみてください!
タイトル | FAR OUT2 |
出演スケーター | GENKI HIGUCHI YUTA YANO SUGURU UCHIMURA MASATAKA KATO JUN ARAKI TUKI KUBOTA YU ISHIZAKI RYOTA MATSUDA SHUHEI KANEKO KEISHIRO TAKASHIMA SHUGO OHMORI WUSA SHUHEI TAKAMI HITOSHI NAGAOKA DAIDO MINAMI DESHI NORIYUKI SEKIKAWA YUUICHI SAITO SHOGO TERANISHI KAI TAKASHIMA TOSHIMASA “Mr” KOZAI |
時間 | 約42分 |
価格 | 1,620円(税込) |
ご注文はこちらからどうぞ!
