スケーターのスタイルを見分けるコツ

スケーターのスタイルを見分けるコツ

どうも!稲垣です。

今日は、すごく良い質問が届いたので、お答えしようと思います。

東京都のNさんからの質問です。

稲垣さま

こんにちは。

何度かお買い物させてもらっているNと申します。

メルマガもいつも楽しみにしています。

はじめてなのですが、ひとつご質問です。

私はスケボーはじめて2年くらいで、

最近ようやくちょいちょいキックフリップがメイクできるようになってきた程度です。

自分のスキルが低いせいなのかもしれませんが、

海外のプロの映像を見ていても、「全員超うまい」と思ってしまいます。

稲垣さんもよく好きなスケーターとかを挙げられていますが、僕にはまだスケーターの個性や特徴が見分けられません。

プロの映像を見て、この人はこうだとか、プレイヤーごとの違いがわかってくると自分のスケボーにも活かせそうですし、スケボーがもっと楽しくなるんじゃないかなぁと思っています。

というわけで、プロの映像を見る時に「自分はこういう目で見てる」というポイントがあったら教えていただけるとありがたいです。

お忙しい中とは思いますが、お時間ある時にでもご返信いただけるとうれしいです。

よろしくお願いいたします。

Nさんありがとうございます!

YouTubeのプロの滑りを見てると「超スゲェ」とか「超ヤバイ」以外の感想が浮かんでこないってことあると思うんですよ。現実味を感じられないから参考にもならないっていうね。

自分もスケートボードを始めた頃は、Nさんと同じ感じでした。スケーターのスタイルに好きとか嫌いもなくて、ただただスゴイと思って見ていた感じです。

でも、いつの頃からか自分の好みが出てきたんですね。

「このスケーター良いな。」

「このスケーターはあんまりグッと来ないな。」

っていう感想を言うようになってきました。

Nさんにこの質問を頂くまで、僕も「なんで好きなスタイルとそうでもないスタイルがあるんだろう?」なんて考えたこともなかったんですけど、この機会に考えてみました。そしたら、いくつかポイント的なものが見えてきたので、それを今日はお伝えします!

ファッションの着こなし

これ、僕が元々、スケーターのファッションが好きでスケートボードを始めたことが大きいと思うんですけど、ファッションの着こなしが好きなスケーターは、滑りのスタイルも好きになること多いです。

スケーターの着こなしって色々あると思います。ヒップホップ、ロック、ハードコア、ワーク、スポーツなどなど。僕は、シンプルなストリートファッションをさらっと着こなしているスケーターが好きですね。

若い時のマイク・キャロルの着こなしが好きで、「キャロルが着ていそうなナイロンパーカーはねえのか?」って感じで、洋服屋とか古着屋を回ったりしました。

最近だと、GIRLのコリー・ケネディのオシャレなのかダサいのか分からない着こなしとか、

マックス・パーマーとかのシンプルだけど、少しダーティでワークな雰囲気も好きです。

スケートボードをやっているなら、絶対にファッションにも興味を持つと良いと思うんです。意識を100%滑りやトリックに向けていくと、スケーターのファッションもジャージやユニフォームみたいになってしまって、つまらないし、スケーターの視点でファッションを楽しむってすごく楽しいんですよ。

僕は、自分の中にほんの少しポーザー(見た目だけスケーターの格好をしているヤツ)の意識があることを昔から感じていて、意識を全て100%滑りに向けることができないんです。どうしても、ファッションや音楽など、滑りやトリック以外の要素を取り込みたくなってしまいます。

若い時は、「見た目ばっかり気にして滑りやトリックが大したことない俺ってダサいなぁ」なんて思ったこともあったんですけど、今では、気にせず楽しんでいます。

ちょっと話が脱線しましたけど、自分がカッコイイと思う着こなしをしているスケーターをじっくりチェックしてみると、好きなスタイルが見つかるかもしれません。

 

西海岸か東海岸か?

アメリカって、日本と違って西海岸と東海岸がすごく遠いです。なので、文化や風習なんかが同じ国なのに違っていることが多いです。だから、スポーツも音楽も西と東で分けるクセがあると思うんです。ヒップホップも西と東でスタイルが違っていたりとか。

スケートボードも東と西でスタイルが大きく違います。

西は、どちらかというとメジャー志向というか、スケートボードで成功をつかむなら西海岸へ、っていうような雰囲気があります。カリフォルニアは雨も少ないし暖かいので1年中滑れますしね。イメージとしては、でっかいトリックをドッカーンと決めたり、派手な滑りをするイメージがありますね。

東は、都市型ですね。完全なるストリートスケートというイメージです。西海岸のカリフォルニアって、庭があったり、道が大きかったりして、開放的な滑りをするんですけど、東海岸のニューヨークは建物も人も密集していて汚れていて路面も悪い。そんな中でスケートボードを楽しもうとすると、嫌でもスタイルが違ってきます。

僕は、周期的に好きなスタイルが入れ替わります。「東海岸の方がストリート感あってヤバイわ」って思っていても、しばらくすると、「西海岸の楽しい雰囲気最高でしょ」ってなったりして、あんまりどっちが自分のスタイルだって言うこだわりはないです。ただ、こだわりはなくても、西海岸と東海岸でスタイルが違うっていうことを知っていると、映像の見方も変わってくるし、カッコ良さが具体的になってくると思うんですね。

ニューヨークでの映像をよーく見ていると路面がガッタガタで、なんやったらオシッコとかゲロとかがある道で滑ってたりして、「ありえねー」でも、「そこを攻め続けるってヤバイ」っていうのが分かってくるし、「この路面をフルプッシュ?カッコイイ・・・」っていうのにも気づいてきます。

僕が若い時は、西海岸ならGIRL、東海岸ならZOOYORKっていう2大ブランドがスタイルを発信しあっていて、どちらのVHSも擦り切れるまで見た記憶があります。

今では、ジャンル分けというかスタイル分けが細分化されて、なかなかどれが自分好みか見つけにくかったりしますが、まずは、西海岸と東海岸という一番大きなスタイルをチェックしてみると「スタイルの正体」が分かってくると思います。

スケートボードが西海岸から東海岸に渡って、どんな風に進化していったのかを知りたいなら、超オススメのDVDがあります。こちら→ Deathbowl to Downtown DVD

 

とにかく沢山の映像を見てみる

Nさんもきっと沢山の映像を見ていると思うんですが、さらに沢山見てみましょう(笑)

色んなジャンルの滑りを見ているうちに自然と偏りが出てくると思います。なんでか分からないけど出てくる偏りにスタイルっていうやつのヒントがあるのではないかと思います。

偏りって出会って一発目で現れることもあれば、じょじょに現れてくることもあると思います。

ロックに出会って人生が変わった!っていう人もいれば、気づいたらロックしか聞いてないなぁ。俺ってやっぱりロック好きなんだなぁ、っていう人もいます。

僕も最近、実はBボーイスケーターがメチャクチャ好きなことに気づいたんですよ。僕自身は全然Bボーイじゃないし、ヒップホップもそんなに聞かないんですけど、Bボーイスケーターの映像を見ることが多いんです。不思議なのは、僕自身がそういう滑りをしたいと思ってはいないけど、見ている分にはすごく好きっていうところです。

Nさんは、もしかしたら、スケートボードの映像の全てを何かに役立てたいと思っているかもしれないんですけど、そうじゃなくても良いと思います。トリックの上達のためにマジメに映像を見るのはスゴく良いことだけど、たまに、純粋に楽しんで見てみる時間もあって良いのかなと思います。意外とそういう楽しんでいる時に「これや!」って感じで、自分の好きなスタイルとか好きなスケーターとかが見つかったりすると思います。

 

スタイルを見分けられるようになったらもはや病気

よく大人がAKBとかモー娘。を見て、

「全員同じ顔に見える」

って言ったりします。これと同じで、多分、ほとんどの人はプロの滑りやトリックを見ても、違いが分からないと思います。Nさんのように、違いを探そうとすらしません。なんでかっていうと、興味がないから。

スケートボードを始めた時の感覚って、すごく単純でシンプルだと思います。カッコイイ、スゴイ、難しそう、怖い、危ない、痛いというような。

僕もAKBとかモー娘。を見て、カワイイとか若い以外の感想が出てこないんです。

だけど、オタクの人とかって、違いを徹底的に探して、それに惚れ込んで語り合ったりしているじゃないですか。端から見るとほぼ病的です。

スケーターのスタイル語りもこれと同じで病的なんですよ。普通の人からするとスケーターの滑りの違いなんて分からないし、こだわりも理解できない。

最近、スケートボードの人気が上がって人口も増えてきていますが、すごく面白いのが、スケートボードってメジャーになる前に、スケーター達の手ですでに文化を成熟させてしまっていることだと思うんです。

マスコミや大企業の力を借りずに、スケーター達のDIY精神でスタイル、トリック、セクション、カルチャーをすでに成熟させているんです。もちろん、成熟しきっているわけではなくて、まだまだ面白くなっていくと思います。

Nさんは、すでにスケートボードの底なし沼に片足を突っ込んでいる状態なんです。僕の個人的な経験上、スケーター沼からキレイサッパリ抜けられた人っていないんですよね。

抜けられたって思っていても、泥は体のどこかについていて、何回洗っても取れない。例え、スケートボードに乗らなくても、スケーター的な視点で世の中を見ることはやめられないというか。

僕の言うスケーター的な視点っていうのは、

  1. トライしてみること
  2. 他人を認めること
  3. DIY精神

の3つです。僕自身、この3つの視点で20年を生きてきたおかげで、すごく楽しかったし、これからも楽しくやっていけそうです。この3つは、例えスケートボードから降りたとしても活かしていける視点、考え方だと思っています。

Nさんも、このままスケートボード沼にどっぷりハマってみると良いと思います。スケートボードに乗っているとトラブルとかケガとか色んなことが起きるけど、超安全な自動運転の車に乗ってそのまま棺桶に乗せられるよりはマシなのかな、と僕は思います。

今日は以上です。Nさん、また質問やメッセージ送ってくださいね(^^)

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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