みなさんは、スケボーをする場所と言えば、どこを思い浮かべますか?ストリート、パーク、ランプ、バーチカル、ボウル。屋外、室内。まさかの自宅内?
今や、スケートボードは、性別年齢関係なく多くの人が楽しめる文化になっているので、楽しむ場所は様々です。
ですが、やはりスケボーの醍醐味は、ストリートにあるのではないかと、Hi5店長 稲垣は考えています。(まぁ、個人的にランプやRセクションが苦手というのもあるのですが・・・。)
しかし、日本のスケボーを楽しんでいる人の多くが、ストリートスケートに魅せられてスケボーを買いにショップへ向かったと思います。今回のコラムは、「なぜスケボーはストリートでやると楽しいのか」を書こうと思います。
自分から陸に上がったのさ。
そもそも、スケーターはいつ、ストリートに発生したのか?
以前、スケボー初心者が陥るワナというコラムの中で紹介した、映画「ロード・オブ・ドッグタウン(LORDS OF DOGTOWN)」で印象深いのが、新型ウィールを開発した時のシーン。ここが、サーファーがスケーターに変化し、ストリートへ出ていくきっかけになります。
どうしても陸上で、サーフィンの感覚を味わいたかったサーファー自らが試行錯誤してたどり着いたのが、ウレタンでウィールを作る事でした。それまでは、硬質のプラスチック製だったので、アスファルトの上を走っても、サーフィンの流れるような動きを再現出来なかったのですが、粘りがあって、適度に硬いウレタンを使った事で、スケーティングがスムーズになりました。
強力な走行能力を手に入れたスケボーは、一気にストリートへ流れこんでいきます。その過程で、プールに潜り込んで楽しむ、ボウルスケートも誕生します。(だから僕は、ボウルスケートもストリートスケートだと思ってます。)
ここで、注目したいのは、「ウレタン製」という事ではなく、サーフィンが好きすぎて、四六時中、それこそ陸上でもサーフィンを楽しみたかったサーファーが、自らウィールを開発した所です。
ストリート文化のスゴい所は、こういう精神にあると思います。企業やマスコミが、お金儲けの為に準備した薄っぺらい遊びではなく、当事者達が、毎日少しづつ改良を加えて、さらに楽しく、さらに気持ちよく、さらに奥深く進化していくところ。
まるで生物が進化するために、自ら陸に上がったみたい。スケーターの祖先は、サーファーなんですね。
ウィールの歴史を振り返ると分かります。スケートボードは、やっぱり純粋なストリート文化なのです。
イタズラ心が騒ぐんです。
僕は、F1にはあまり詳しくないのですが、F1ってめちゃくちゃ速いですよね?時速300km/hを軽く越えるそうです。そんなマシン達が数十台も同時に走行して順位を決めるなんて、物凄い話です。そら事故るわ。でも、男子なら誰もが、こんな無茶振りを考えるのではないでしょうか?
「これ、街でやったら、めちゃくちゃ楽しそうじゃん?」
と。で、実際にやってるんですね、F1市街地レース。それが、噂に名高い、モナコグランプリ!
モナコグランプリ(Monaco Grand Prix)
モナコ公国のモンテカルロ市街地コースで行われるF1のレースのひとつ。インディ500、ル・マン24時間レースと並び「世界3大レース」の1つに数えられ、現在ではF1のイメージリーダーともいえる名物レースとなっている。(Wikipediaより)
企画した人間はきっと、無邪気でイタズラ心のある愛すべき人だと思います。このモナコグランプリ、めちゃくちゃ盛り上がるそうです。そりゃそうですよね、あの世界最高峰のカーレースを、市街地の公道でやっちゃうんですから。F1に興味がなくても、ワクワク、ドキドキしちゃいますね。
僕はストリートスケートにも、モナコグランプリみたいなワクワク、ドキドキを感じています。
スケートパークでは起きないハプニングがあります。パークのようなキレイな路面など、ほとんどありません。怖いオッサンにしかられたり、近所のおばちゃんから声援を受ける事もあります。アドリブを利かさないと乗り越えられないスポットが沢山あります。
街は、スケーターを楽しませるために造られていません。それを楽しんでやるなんて、イタズラ心が騒ぎませんか?スケートパークの練習に退屈を感じたら、こう考えてみましょう。
「これ、街でやったら、めちゃくちゃ楽しそうじゃん?」
まとめ:今を生きる自分を実感出来るから
生まれも育ちもストリートのスケボーは、やっぱりストリートで楽しむのが一番のようです。
「サーフィンやスノーボードは、自然を相手にしているので、同じ状況は二度と来ない。スケートボードは、同じ状況で何度もトライ出来る。」
という言葉をどこかで読んだことがあります。確かにスケボーは、人工物を相手にするので、同じ状況が何度も続きそうです。でも本当にそうでしょうか?
ストリートスケートに限って言えば、同じ状況は無いと、僕自身は考えています。天候や時間帯はもちろん、予期しない乱入者が現れることもあるし、昨日まではなかった障害物が出来ていることもある。人の住む世界で進化し続けるのがスケートボード。サーフィンやスノーボードが相手にしているのが自然の変化だとしたら、スケートボードは、人の変化を相手にしているのかもしれません。
ストリートスケートは、街の変化を感じる想像力と、それを乗りこなすスキルが必要ですが、思い切ってスケボーと一緒に街へ出かけてみましょう。
スケボーで出かけると、自分が住む街の変化を実感出来ます。その日、その時間しか起こらない事件や奇跡を体験するために、多くのスケーターがストリートへ繰り出します。
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