どうも!稲垣です。
昨日からスタートした、「これからスケボーを始めるスケボー初心者にGIRLとCHOCOLATEのコンプリートデッキがオススメなワケ」。今日は、その2をお伝えします!
その1では、スケボーを長く深く楽しんでいきたいなら、価格と品質よりも、スケートボードのカルチャーやバックボーンを知ったり、好きになった方が良いぞという話をしました。
なので今日は、GIRLとCHOCOLATEのコンプリートデッキの品質と価格よりも大切な、カルチャーやバックボーンをお伝えしていきます。
もしもその結果、
「このブランドの生い立ちや背景や滑りのスタイルは、あんまり自分に合ってないなぁ」
と思ったなら、買わない方が良いです。例え、価格と品質に納得したとしても買わない方が良いです。
多分、カルチャーやバックボーンに惹かれてないのに買っても、スケボーは楽しめないと思うので。
それじゃあ、GIRLとCHOCOLATEというブランドについてお伝えしていきます!
GIRLとCHOCOLATEは、兄弟ブランドです。GIRL SKATEBOARDS COMPANY(ガール スケートボード カンパニー)という会社が運営しています。
社長は、現在もGIRLのプロスケーターである↓Rick Howrd(リック・ハワード)。
副社長が、これまたGIRLのプロスケーターである↓Mike Carroll(マイク・キャロル)。
どちらも10代の頃からプロスケーターとして活躍しているスーパースタースケーターです。
今では、GIRLカンパニーっていうと、世界中のスケートショップでアイテムを取り扱っていて、ビッグカンパニーっていう感じだけど、最初は、本当に小さな会社でした。
ハワードとキャロルは、それまでに所属していたスケートボードブランドのやり方に嫌気がさし、スケーターによるスケーターのためのカンパニーを作るために独立して、GIRLをスタートします。
今は、インターネットのおかげで、ブランドを立ち上げれば、インスタグラムやYouTubeで一気に拡散されて、商品もすぐに売れるってことがあるけど、GIRLがスタートした1993年当時は、そんなものありません。
ほとんど自力でスタイルやアイテムを宣伝してファンを増やしていくしか方法がない。何かのインタビューで、マイク・キャロルが、「資金的にはきつかったよ」って言ってました。なので、自分達の事務所みたいなのはなくて、友だちがやっていたストリートファッションブランドXLARGEの倉庫を間借りしていました。
↑ゴリラのロゴでおなじみXLARGE。
今のGIRLやCHOCOLATEからは想像できない感じがするけど、GIRLも最初は小さな会社だったんですね。
だけど、友だちのブランドの倉庫から、あり得ない想像力でビッグカンパニーになっていきます。
その原動力になったのが、Spike Jonez(スパイク・ジョーンズ)という男の存在です。
昔、スケートボード雑誌にこんな風に書いている人がいました。
「GIRLの後に道ができる」
つまり、これまで誰もやっていなかったことをやり続けているのがGIRLというブランドなんですね。
スケーター自身で運営するという経営方針、幼なじみを中心とした家族のようなチーム構成、スキルアップへの飽くなき挑戦など、これまでのスケートボードブランドとは違うやり方で、GIRLは、どんどんファンを増やしていきます。
だけど、インターネットもない時代に、どうやってそんなに爆発的にファンを増やすことができたのか?
その原動力になったのが、Spike Jonez(スパイク・ジョーンズ)という男です。
スパイク・ジョーンズは、GIRLの共同経営者の1人で、設立にも深く関わっています。現在は、ハリウッド映画監督としても活躍する超大物です。
スパイク・ジョーンズは、元々BMX雑誌のカメラマンをやっていたのですが、ある時からスケートボードの映像を作り始めます。Blind(ブラインド)のVIDEO DAYSという作品が超有名です。
ただ単に滑りを編集するだけじゃなく、ストーリーやアクションを織り交ぜたスタイルで一気にブレイク!
GIRLやCHOCOLATEのビデオを作るようになってからも、どんどんスケートボードビデオの表現方法をアップデートしていきます。
GIRLの第1作目では、スケートボードとカーアクションを融合させたり、
↓GIRLの2作目では、ネズミの着ぐるみ、森でのスケーティング、小人スケーター、
3作目では、見えないボード(インビジブルボード)、
4作目では、ドローン撮影をいち早く導入、
CHOCOLATEのツアー作品では、燃えるデッキで滑ったり、
さらには、アーティストのビョークが描き下ろしたオリジナルサウンドをBGMに↓こんな映像を作ったり、
GIRLカンパニーのシューズブランドLAKAIでは、ついに↓ここまでやってしまう。
スケートボードの映像のためにここまでやるカンパニーってGIRL以外には考えられないんですね。
インターネットの登場で、ブランドのイメージやスタイルを伝えるのはすごく簡単になったし、時間もかからないし、お金もかからない。良い時代だと思うんですけど、脳ミソにこびりついて取れないほどの記憶になる映像ってないような気がする。
スパイク・ジョーンズは、インターネットがない時代に、いかに人の記憶に残って口コミでブランドイメージを拡散させていくかっていうのを考えて、ここまでのインパクトがあるビデオを作っていたんじゃないかな。
もちろん、GIRLやCHOCOLATEは、滑りのスキルもスタイルも超一流のチームです。多分、普通にビデオを出すだけでも、トップブランドになったと思うけど、スパイク・ジョーンズのクリエイティビティが加わったことで、小さなカンパニーの知名度が爆発的に大きくなったと、僕は思います。
スパイク・ジョーンズは、ハリウッド映画監督になって、賞まで受賞するくらい大物になったのに、スケートボードカンパニーの仕事もずっと続けています。こういうスタンスがまた良いんです。
また、GIRLには、専属のアート・デザイン集団が所属しています。
それまでグラフィティとかドクロとかっていう怖くてアンダーグラウンドなイメージがあったスケートボードにポップアート、ファインアートを取り入れて、イメージをガラッと変えたのもGIRLとCHOCOLATEです。
コレクターズアイテムになっていたりするほどのクォリティです。
あるインタビューで副社長のマイク・キャロルは、「カンパニーとスケーターとの間では契約は交わさない。」と言っていました。
チームマネージャーのサム・スミスという人もあるインタビューで、「チームは家族みたいなものだ」と言っていました。
GIRLほどの大きな会社に、スケーターが口約束でチームに入ったり脱退したりしている。もちろん、それが原因で揉め事になったりもしているみたいだけど、このやり方、カッコ良いと思いませんか?
「最高の取引とは、交渉しないことだ」っていう言葉がありますが、それを実際にやっているのがGIRLカンパニーなんですね。
プロスケーターは、自分の名前が入ったデッキが売れることで、収入になります。つまり、自分の名前が入ったデッキが販売されないと収入が途絶えてしまうんですね。
GIRLは、大きなケガをしたり、事故を起こしてしまったスケーターのデッキの販売もこれまで通り続けていたりします。GIRLのマイク・モー・キャパルディというスケーターは、ヒザに大怪我を追って滑れなくなりましたが、彼のデッキは今でも毎シーズンリリースされています。
コリー・ケネディというスケーターも、先日車で事故を起こして、現在は滑れない状態。だけど、やっぱり彼のデッキはリリースされています。
かと思いきや、マイク・キャロルが、他のことで揉めたスケーターをインタビュー中にクビにして、即日ウェブサイトから名前を消してしまったりもします。
大きな会社なのに、スキだらけ。子供の時にストリートのスポットに集まって「お前チーム入らない?」「お前ムカつくから、チーム抜けろや!」みたいなことを未だにやっているのがGIRLカンパニー。
GIRLだったら、もっと大きい会社になってもおかしくなかったけど、そうならなかった理由は、こういうところにありそうです。でも、ファンにとっては、こういうところがたまらなかったりするのかもしれません。
GIRLとCHOCOLATEの生い立ち、カルチャー、バックボーンを中心にお伝えしたのですが、最後に、今のGIRLとCHOCOLATEのライダーの滑りを紹介します!
↓最近加入したオーリーキング Andrew Brophy(アンドリュー・ブロフィー)!
↓天才Sean Malto(ショーン・モルト)!
↓いぶし銀の滑りで、母親が日本人のKenny Anderson(ケニー・アンダーソン)!
↓今年加入したストリートスケートの申し子Yonnie Cruz(ヨニー・クルズ)!
↓ちょっと昔の映像だけど、GIRLの社長ハワードと副社長キャロルのコンビパート!
最近、スケーターが仲間と立ち上げた小さなデッキブランド、スモールブランド、スモールカンパニーが人気です。
企業や会社のために滑るんじゃなくて、自分達がカッコイイと思うスタイルで滑りたいという姿勢が人気の理由だと思います。僕もスモールカンパニーが好きで、自分のお店では取り扱っていないけど、個人的にスモールカンパニーのデッキやウェアを買ったりもしています。
今は、インターネットの普及とスケートボードのブームが重なって、スケーター自身の手でブランドや会社を運営できる時代になったということかもしれません。
GIRLは、今ではスモールカンパニーの枠には入らないんだけど、実は、スモールカンパニーの先駆けだったなぁと思います。リック・ハワードとマイク・キャロル以降、自分の会社を立ち上げて成功したスケーターっていなくて、空白の20年なんて言われていたりするそうです。
ザーッとお伝えしたんですが、GIRLとCHOCOLATEを選ぶポイントとしては、
というところになります。
スケートボードという枠だけでは語れない歴史とカルチャーとバックボーンがあります。ファッション、デザイン、アート、映像の分野にも影響を与えたすごいスケートボードブランドですね。
っていうあなたには、マジでおすすめのブランドです。
GIRLとCHOCOLATEのカルチャー、バックボーン、滑りのスタイルなどを早足でお伝えしました。
ある程度大きい会社だけど、やっぱりスケーターの会社だなぁというのが愛され続けている理由なのかな。もっと大きくなって欲しいけど、やっぱりスケーターらしい雑な部分も残して欲しい。
僕がGIRLカンパニーで一番好きなエピソードは、relaxっていう雑誌に特集された時に書いてあった、
「スタッフに誕生日の人がいたら、仕事をやめてパーティーを始めてしまう」
というエピソードです。日本では、できそうでなかなかできないことですよね。僕もいつかスタッフを雇ったり、お店が大きくなった時には、こんな風にしたいなぁと思い続けています。
もしも、今日のブログであなたがGIRLとCHOCOLATEに少しでも興味を持ってもらえたらすごく嬉しいです。
そして、たとえ、GIRLとCHOCOLATEのスケボーを選ばなかったとしても、これからスケボーを始めようと思っている時に、価格や品質以外に、ブランドのバックボーンやカルチャーという選択肢があることを知ってもらえるだけでも十分かなと思ってます。
明日は、GIRLとCHOCOLATEのコンプリートデッキに使われているパーツのサイズや品質についてお伝えします!